kamikazeoukaのブログ

介護に関わる方とのコミュニケーションのきっかけになれば…

本を書くのが好きな介護士です!

過疎地に住み込みナース

これはありがたい!

今朝の日本経済新聞朝刊より…

 

過疎地に定住しながら、健康管理の一躍を担ってくれる

「コミュニティーナース」

人は高齢期になると、何かしらの身体の不具合が生じてくる。

病院に行くまでもない、と思いつつも不安は拭えない。

そんな時に寄り添ってくれるが「コミュニティーナース」である。

 

「コミュニティーナース」…

その多くは自治体によって採用、運営がなされているため

空き家バンクの促進にも功を奏している。

空き家問題が話題となっている昨今、特に過疎地に於いては

その現象が著しい。

その解消にも一躍を担っているそうだ。

今後「コミュニティーナース」の定着により、行政側の

移住促進へと繋げたい考えも透けて見える。

 

厚労省は、増え続ける医療・介護などの福祉関連負担に

対応する為、「訪問診療」や「在宅介護」を促進している。

欧州(スウェーデン・ドイツ・イギリス)など、なかには

日本のような介護施設などない国もある。

その殆どを「在宅」で賄うからである。

ターミナル期においても在宅での対応をしているのである。

 

今後日本は増々「在宅医療・介護」へと進んでいくのは

間違いないだろう。

 

2025年問題

間もなく団塊の世代が、高齢期を迎えようとしている日本。

誰もが住み慣れた自宅で、最期を迎えられるようにするために

まだまだ準備しなければならないことが山積だ。

それには関係法規の見直しは勿論、医療職、介護職の人材確保など

手遅れにならないよう、私たちも真剣に向き合うべきなのだろう!

 

ジレンマ  後編

ジレンマ 前編続き…

 

入職間もない職員(山田君・仮称)は、中堅職員の言動に疑問を

呈していた。

それは「基本」と「応用」との対立のようなものだった。

 

こんなことで何故私が「ジレンマ」に陥るのか…

 

それは…

 

どちらも間違っていないからなのである。

正しいとは断言しない。

実は「介護」には、これが正解というものは存在しない。

「よりこの方が良い」はあるが、「絶対これである」は

神様にでもならない限り存在しない。

 

そこで…

 

二人共に「君たちは間違っていない」と言ったとしよう…

二人は私の言葉を聞いて、それぞれにこう思うであろう。

「僕のやっていることの方が正しい」

 

二人ともに「君たちの行動をよくよく考えるべきだ」

二人は私の言葉を聞いて、それぞれにこう思うであろう。

「そんなはずはない、僕は間違っていない」

 

どちらか一方だけに「間違っていない・考えるべきだ」

と言った場合どうなるだろう?

これまで同様の場面を、いやと言うほど見せられてきた。

大抵は「あなたの言うことも間違ってませんよ、いろん

なやり方を見て考えることも勉強ですから…」

 

いつもこうだった。これを個別言うものだから、当事者

の二人には必然的に、相手に対する「確執」を生んでし

まっていた。

彼ら二人に対立構造の元、または互いに「侮蔑」を生むことに

なっていた。

 

前編でご紹介したように…

敢えて「囚人のジレンマ」に置き換えると…

個々の満足を優先する「あなたは間違っていない」と個別に言

う状態は「ナッシュ均衡」となり、どちらかに優劣を付けずに

平穏に解決する目的での「二人共よくよく考えて」の発言は、

パレート最適」とでも言おうか…

 

じゃ、このようなケースにおいて、若き二人に対するベストな

進言とはいかなるものなのだろうか?

 

これまでの対応では、何ら解決に繋がらないのは火を見るより

明らかだ。

 

二人の当事者だけではなく、周囲をも巻き込んだこの状態を、

敢えて「囚人のジレンマ」に当てはめてみたのだが…

 

うまく解決したように思っていたことも、個々にとっての合

理的な判断である「ナッシュ均衡」と、二人の利益を最大化

する「パレート最適」、何れも一致しない状態であったこと

が分かるのである。

 

さて、それではどのように対応するのがベストなのか?

その答えは、実証後に報告したいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジレンマ  前編

私がこれまで人生を送ってきた中に、突然現れる「ジレンマ」

というものに悩まされることがあった。

学生時代に学ばれた方も多いと思うが…

私の話の前に、その有名なモデルケースで確認したいと思う。

 

囚人のジレンマ

 

ある犯罪容疑で逮捕された2人の容疑者が、別々の部屋で取り調べを受けている。
この時点で2人の容疑者が持てる選択肢は「自白する」「自白しない」の二つだ

けである。

 

 

二人の容疑者の自白状況によっては、その後に受ける刑罰の重さが異なる。

●1人が自白したが、もう一人が自白しない場合、自白した方は無罪。

しかし、自白しない方は懲役10年となる。

●2人共自白しない場合は懲役2年 。

●2人共自白した場合は懲役5年

この状況において、二人の容疑者はどれを選択肢するのか。

 

 

お互い「相手が自白せずに、自分だけが自白する」という選択肢が無罪となり

最良である。
しかし、相手も自白した場合は、自分は無罪にはならないというリスクがある。

二人共「自白しない」という選択した場合、有罪となるものの懲役年数は最も

短い2年となる。

 

しかし、お互いが自分の利益だけを追求するために「自白する」ことを選択す

ると、「自白しない」を選択したよりも長い「懲役5年」の刑となってしまう。

 

 

このように、二人が自分にとって一番利益となる選択をした場合は、協力した

時よりも悪い結果を招いてしまう。

このことを「囚人のジレンマ」と言う。

 

囚人のジレンマ」の構成を理解する上で欠かせないキーワードがある。

 

パレート最適」と「ナッシュ均衡」である。

 

全体の利益を優先する「パレート最適

ある個人のみに利益となる判断「ナッシュ均衡」である。

 

個人にとって合理的な選択は、全体にとって良い影響を及ぼすとは限らない。
誰も不利益を被ることなく、全体の利益が最大化される状態(或いはそれ以

上利益を出すためには誰かの犠牲を必要とする状態)を「パレート最適

(またはパレート効率性)」という。

 

例題のジレンマの場合において、「お互い自白せずに懲役2年の刑罰を受ける」

ことがパレート最適である。
しかし、相手が裏切り自白した場合は、自分は懲役10年となる。
このリスクを回避するためには自白するしか選択肢は無い。

この状態では2人とも「自白する」という選択しかできない。
このように、いくら画策しようが自分の選択を変えると利益が得られない状態

或いは、互いに現状から変わる必要のない安定した状態を「ナッシュ均衡」と

いう。

例題の「囚人のジレンマ」におけるナッシュ均衡とは「お互いが自白する」こと

になるが「パレート最適」な状態ではない。

 

このようなことから、個々にとっての合理的な判断である「ナッシュ均衡」と、

全体の利益を最大化する「パレート最適」とは必ずしも一致はしない。

 

この矛盾を説明したものが「囚人のジレンマ」である。

 

そして…

 

この私も今「ジレンマ」と直面している。

 

それは…

 

ある夜勤明けの日、退勤時間直前の午前9:40分のことだった。

その日、日勤の中堅職員が、入社1週間目の職員(経験者)を引き連れ、利用者さん

の部屋から出ようとした時、

「いいから、いいから、気にしなくていいから…」

中堅職員が連れていた入職間もない職員に、そう声を掛け部屋を出てきたのだ。

「えっ?いいんですか?」

そんな会話を背中に、私は次の利用者さんの部屋へと歩みを進めていた。

「でも、やっぱり…」

聞こえたのはここまでだった。

私は自身の業務を終え、事務所に戻ったのは退勤定刻を20分ほど経過していた。

サービス残業承知でタイムカードを打刻し、施設裏側にある喫煙室へと向かった。

 

「お疲れ様です!」

先に一服をしていた入職間もない職員が椅子から立ち上がって言った。

「あー、お疲れさん、ええよ、座ってて」

「はい、ありがとうございます」

「ところで、さっき〇〇さんの部屋から出てきたとき、いろいろ聞こえたけど、

なんか気になることがあったの?」

「えー、言っていいのか分かりませんが…」

「かくして後から分かっても大丈夫なことなの?」

「いいえ、前職場では完全にアウトなことなんです」

「報告してくれますか」

施設の最古参である私は、眼前に居る30代半ばの職員にそう促した。

「実は…」

私は彼の説明に聞き入った。2分後…

私は「ジレンマ」と直面することとなった。

 

内容を聞いた私は、報告してくれた職員の考えが正しいとすぐに分かった。

他方、中堅職員が何故そのような行動をとったのか、これまでの職員の言動

から分かっていた。

 

わかりやすく言えば、「基本編」と「応用編」との対立のようなものだった。

 

こんなことで、何故「囚人のジレンマ」が登場してくるのか、と思われるかも

しれないが、そのジレンマはどこともなしに忍び寄ってくるのである。

 

後編に続く…(明日~明後日頃予定)

 

 

 

続・人手不足!

「次がありますので代わってもらえませんか!」

「ごめん、こっちも手が一杯だから…」

こんな会話が日常である。

 

我々が額に汗する現場には、何らかの障がいの為に

自立生活を営めなくなった高齢者が住まわれている。

 

なんとか「普通の生活」に近づけるようにと様々な

援助の手を差し伸べている。

 

障がいを持った高齢者は予定通りにならないのが当たり前。

スケジュール通りに行動ができるのなら、ここ(施設)には

住まわないのであるから…

 

しかしである…

 

「援助」時間は数分単位で細かく配分されている。

援助の手が無いと普通の生活を送ることが出来ない高齢者を

手助けすることが目的であるはずの現場は、援助時間が数分

単位で区切られている。

 

トイレの時間に訪問しても「今は出ない」など言われるのは

毎度のこと…

そして5分も経たないうちに呼び出しコールが鳴る。

「やっぱりトイレに行きます」

 

それまでトイレのことなど気にせずにいた方が、

「トイレ」という言葉を聞いただけで「尿意」を催すのだ。

これで援助が2倍になる。

1度目で済ませておけばよいのだが…

思うようにならないのが「介護」である。

それまで織り込み済みで援助にあたらなければならない。

 

なのにである…

 

援助時間は、数分単位で区切られている。

勤務時間内に終わることなど無いのだ!

それはそれで構わない…

ちゃんと手当が付けば…

 

事業者側は人件費増につながる残業手当は出したくない。

だから残っている職員に順送りして援助に当たらせる。

送られた職員はたまったものではない。

自身の受け持つ援助も常に遅れがちであるのに、この上更に

援助を送られたのでは目も当てられない。

 

でも…

 

遅れながらでも、最後はなぜか辻褄が合う。

 

それは…

 

「何処かで」「誰かの」「援助」を端折っているからに相違ない!

外からは見えない部分で、何処かで、誰かかの、援助を削って、

何処かの、誰かのために、何らかの援助が充当されているのだ!

これが現実なのである。

 

さらに…

 

呼び出しコールを1日に何度も何度も押される方は、全国の施設で

頭痛の種となっている。

他方、失禁していても次の援助時間まで耐え忍ばれる方もいる。

どちらも同じ介護度であれば、負担する金額も同じである。

 

予定通りにいかないのが高齢者介護の実態であることは述べた。

しかし数分単位で援助は区切られる。

熟しきれなかった援助は、残っている職員に上乗せされる。

なのに概ねであるが、最後は辻褄が合う。

 

職員をコールで何度も呼ばれる方がいる。

一日に何回も何回も…

一度の訪問が5分としても、10回呼ばれれば50分にもなる。

他方、じっと堪えている方がいる。

パンツが濡れようが、床から立てなくても、職員が訪問する

まで、じっと耐え忍んでいる方がいる…

どちらも費用負担は同じである。

 

最後までお付き合いいただいた皆様…

 

どうぞ、コメント頂けたらと思います。

介護職の方はもちろん、異業種、学生さんからのコメント

もお待ちしております!

 

 

 

 

 

 

 

 

人手不足が一転!

2025年問題を抱える介護業界は「いの一番」

記事のコメントに入る前に介護業界の現実を把握する必要がある。

一言に介護と言っても、そのサービス(機能)の多さに驚かされる。

大別すると「在宅系」と「施設系」である。

 

「在宅」は一般の方でも比較的わかりやすい。

一言でいえば、自宅で生活を送りながら、訪問にて医療や介護サービスを受けるものである。

 

訪問介護 

ホームヘルパーが訪問して、排泄、食事、入浴などの介助や家事などに日常生活上の支援を行う。


訪問看護
看護師や保健師が自宅を訪問し、主治医と連絡・連携をとりながら療養上の世話や診療の補助を行う。


●訪問入浴介護
ホームヘルパーや看護師が訪問し、入浴設備や簡易浴槽を積んだ移動入浴車等で入浴の介助を行う。


●訪問リハビリテーション
高齢者等の居宅を医学療法士や作業療法士が訪問し、リハビリテーションを行う。

 

通所介護(デイサービス)

高齢者等を送迎し、デイサービスセンターへ通ってもらい、入浴、排泄、食事等の介助やリハビリテーション・リクリエーションを行う。

 

●通所看護(デイケア

高齢者等を送迎し、介護老人保健施設や病院等に通ってもらい、日常生活の自立を助けるためのリハビリテーションを行う。

 

 

わかりにくいのは「施設系」である。

 

認知症対応型共同生活介護グループホーム

認知症の状態にある高齢者等に対して、小規模の共同生活の住居において(定員:1ユニット10名以下)、入浴、排泄、食事等の介助その他の日常生活上の世話や機能訓練を行う。


●特定施設入所者生活介護(有料老人ホーム)
有料老人ホーム等に入所。当該施設で入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話や機能訓練及び療養上の世話を行う。


●短期入所生活介護ショートステイ
短期入所施設等に短期間入所。施設において入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行う。


●短期入所療養介護(医療ショートステイ
介護老人保健施設等に短期間入所。、当該施設において看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療や日常生活上の世話を行う。


介護老人福祉施設特別養護老人ホーム
常時介護が必要で自分での介護が困難な高齢者等が入所。(原則要介護3以上)入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う。


●介護老人保健施設
病状が安定し、リハビリに重点を置いた介護を必要とする高齢者等に看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う。


介護療養型医療施設
急性期の治療が終わり、長期療養が必要な高齢者等が入院し必要な医療・介護を行う病院等の病床 のこと。

 

そして「在宅」と「施設」の中間に位置するのが…

●小規模多機能型施設

さらに「在宅」を建て前としながらも「施設」と同様のサービスを提供するのが…

●高齢者向けサービス付き賃貸住宅(サ高住)

 

一言で「介護」と言っても、実にこれだけのサービスがある。

 

現実に国家資格である「介護福祉士」になるためには、上記の種別とその機能、そしてサービスを受けたり入所するための要件を知っておかなければならない。

専門職の試験に登場するくらいに「複雑」なのである。

これでは一般の利用者やその家族に、どれを選んでよいのかなど分かるはずがないのである。

 

このような複雑な仕組みも「人材不足」を招く一因となっている。

「ヘルパー」になろう!と思い立っても、その種別により提供するサービスとその提供方法にも、考えていたこととは違いがある。

 

施設系は「食事介助」「排泄介助」「入浴介助」「服薬管理」「生活援助」など重労働かつ汚物系、それに「医療・介護事故」の発生リスクが高い。

その上にお亡くなりになるケースも日常的に目にすることになる。

 

それに比して、通所系であるデイサービス、リハビリデイなどには施設系のような介助や援助もほとんどなく、比較的軽作業である。

 

このような実体から、介護職を目指す人たちの人気は「通所系」に偏ることになっている。

もちろん、施設系より給料は低くなるのではあるが、その差額と労働環境を比べると、1~2万円程度の差額では、やはり通所系を選択せざるを得ない人たちが多いのである。

 

このような現象からある結論が導き出される。

 

介護業界の人手不足とは、それは介護業界全体ではなく、「施設系」の人手不足を指すこととなる。

現に「通所系」の求人は、新規オープンをを除けば、退職者の補充要員程度の求人しかないが、「施設系」の求人は、いつでもどこでも見て取ることができる。

 

また有資格者の就業率も大きな一因である。

2012年の資料ではあるが、有資格者(介護福祉士)の就業率は6割程度とかなり低い。

せっかく資格を取得しても、過酷な施設現場で心折れた職員の4割は、介護職に戻ることはないのである。

 

最後に特異な要因を述べて、今回の投稿の終わりとしよう!

それは…

ここ最近、介護職員、看護職員による利用者、患者などへの虐待による死亡報道が増えてきているのは、みなさんご存じの通りである。施設内で利用者に体調異変が起こり救急要請をすると、必ず警察官も現場施設へと出向き、現場検証(一般事件のようなものではなく、救急要請した経緯の確認と、事件性の有無の確認など)が行われる。

 

ここ最近、介護職員、看護職員による利用者、患者などへの虐待による死亡報道が増えてきているのは、みなさんご存じの通りである。

このように医療介護現場を取り巻く環境は、年々厳しくなっている。

これらの重圧も、介護職離れに拍車をかけていることを、現場を知る私からみなさんにお知らせしておきたい。

 

一般に世間で言われている、給料が安い、勤務時間が長い、汚い、危険リスクが伴う…

これだけではないのは、この記事に最後までお付き合いいただいた方には、お分かりになったと思う。

 

果たして「AI」導入によって、本質的な人手不足の解消に繋がるのだろうか…

「AI」に心の介護ができるのであろうか?

利用者との微妙な駆け引きができるのであろうか?

「AI」の誤作動による事故の責任は一体誰(製造メーカー・導入施設・作動職員)が負わされるのだろうか…

 

「人手不足」の本当の構造が分かった今、我々は

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あらたな問題に直面するのは間違いないだろう…

 

 

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