kamikazeoukaのブログ

介護に関わる方とのコミュニケーションのきっかけになれば…

本を書くのが好きな介護士です!

人手不足が一転!

2025年問題を抱える介護業界は「いの一番」

記事のコメントに入る前に介護業界の現実を把握する必要がある。

一言に介護と言っても、そのサービス(機能)の多さに驚かされる。

大別すると「在宅系」と「施設系」である。

 

「在宅」は一般の方でも比較的わかりやすい。

一言でいえば、自宅で生活を送りながら、訪問にて医療や介護サービスを受けるものである。

 

訪問介護 

ホームヘルパーが訪問して、排泄、食事、入浴などの介助や家事などに日常生活上の支援を行う。


訪問看護
看護師や保健師が自宅を訪問し、主治医と連絡・連携をとりながら療養上の世話や診療の補助を行う。


●訪問入浴介護
ホームヘルパーや看護師が訪問し、入浴設備や簡易浴槽を積んだ移動入浴車等で入浴の介助を行う。


●訪問リハビリテーション
高齢者等の居宅を医学療法士や作業療法士が訪問し、リハビリテーションを行う。

 

通所介護(デイサービス)

高齢者等を送迎し、デイサービスセンターへ通ってもらい、入浴、排泄、食事等の介助やリハビリテーション・リクリエーションを行う。

 

●通所看護(デイケア

高齢者等を送迎し、介護老人保健施設や病院等に通ってもらい、日常生活の自立を助けるためのリハビリテーションを行う。

 

 

わかりにくいのは「施設系」である。

 

認知症対応型共同生活介護グループホーム

認知症の状態にある高齢者等に対して、小規模の共同生活の住居において(定員:1ユニット10名以下)、入浴、排泄、食事等の介助その他の日常生活上の世話や機能訓練を行う。


●特定施設入所者生活介護(有料老人ホーム)
有料老人ホーム等に入所。当該施設で入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話や機能訓練及び療養上の世話を行う。


●短期入所生活介護ショートステイ
短期入所施設等に短期間入所。施設において入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行う。


●短期入所療養介護(医療ショートステイ
介護老人保健施設等に短期間入所。、当該施設において看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療や日常生活上の世話を行う。


介護老人福祉施設特別養護老人ホーム
常時介護が必要で自分での介護が困難な高齢者等が入所。(原則要介護3以上)入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う。


●介護老人保健施設
病状が安定し、リハビリに重点を置いた介護を必要とする高齢者等に看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う。


介護療養型医療施設
急性期の治療が終わり、長期療養が必要な高齢者等が入院し必要な医療・介護を行う病院等の病床 のこと。

 

そして「在宅」と「施設」の中間に位置するのが…

●小規模多機能型施設

さらに「在宅」を建て前としながらも「施設」と同様のサービスを提供するのが…

●高齢者向けサービス付き賃貸住宅(サ高住)

 

一言で「介護」と言っても、実にこれだけのサービスがある。

 

現実に国家資格である「介護福祉士」になるためには、上記の種別とその機能、そしてサービスを受けたり入所するための要件を知っておかなければならない。

専門職の試験に登場するくらいに「複雑」なのである。

これでは一般の利用者やその家族に、どれを選んでよいのかなど分かるはずがないのである。

 

このような複雑な仕組みも「人材不足」を招く一因となっている。

「ヘルパー」になろう!と思い立っても、その種別により提供するサービスとその提供方法にも、考えていたこととは違いがある。

 

施設系は「食事介助」「排泄介助」「入浴介助」「服薬管理」「生活援助」など重労働かつ汚物系、それに「医療・介護事故」の発生リスクが高い。

その上にお亡くなりになるケースも日常的に目にすることになる。

 

それに比して、通所系であるデイサービス、リハビリデイなどには施設系のような介助や援助もほとんどなく、比較的軽作業である。

 

このような実体から、介護職を目指す人たちの人気は「通所系」に偏ることになっている。

もちろん、施設系より給料は低くなるのではあるが、その差額と労働環境を比べると、1~2万円程度の差額では、やはり通所系を選択せざるを得ない人たちが多いのである。

 

このような現象からある結論が導き出される。

 

介護業界の人手不足とは、それは介護業界全体ではなく、「施設系」の人手不足を指すこととなる。

現に「通所系」の求人は、新規オープンをを除けば、退職者の補充要員程度の求人しかないが、「施設系」の求人は、いつでもどこでも見て取ることができる。

 

また有資格者の就業率も大きな一因である。

2012年の資料ではあるが、有資格者(介護福祉士)の就業率は6割程度とかなり低い。

せっかく資格を取得しても、過酷な施設現場で心折れた職員の4割は、介護職に戻ることはないのである。

 

最後に特異な要因を述べて、今回の投稿の終わりとしよう!

それは…

ここ最近、介護職員、看護職員による利用者、患者などへの虐待による死亡報道が増えてきているのは、みなさんご存じの通りである。施設内で利用者に体調異変が起こり救急要請をすると、必ず警察官も現場施設へと出向き、現場検証(一般事件のようなものではなく、救急要請した経緯の確認と、事件性の有無の確認など)が行われる。

 

ここ最近、介護職員、看護職員による利用者、患者などへの虐待による死亡報道が増えてきているのは、みなさんご存じの通りである。

このように医療介護現場を取り巻く環境は、年々厳しくなっている。

これらの重圧も、介護職離れに拍車をかけていることを、現場を知る私からみなさんにお知らせしておきたい。

 

一般に世間で言われている、給料が安い、勤務時間が長い、汚い、危険リスクが伴う…

これだけではないのは、この記事に最後までお付き合いいただいた方には、お分かりになったと思う。

 

果たして「AI」導入によって、本質的な人手不足の解消に繋がるのだろうか…

「AI」に心の介護ができるのであろうか?

利用者との微妙な駆け引きができるのであろうか?

「AI」の誤作動による事故の責任は一体誰(製造メーカー・導入施設・作動職員)が負わされるのだろうか…

 

「人手不足」の本当の構造が分かった今、我々は

f:id:kamikazeoiuka:20170826084548j:plain

あらたな問題に直面するのは間違いないだろう…